と畜場を見学して感じた8つの言葉

そこは、職人が真剣に、仕事に向き合う場。
ごく普通の人が、生き生きと働く場。




あなたにとって、いただきますとはなんですか?


こんにちは。フードサルベージストの高田大雅です。
僕は先日、品川駅から徒歩3分の場所に建つ「東京都中央卸売市場食肉市場」へ見学に行ってきました。

と畜の様子から枝肉へ加工されるまでの工程を見て、セリの様子を見学。

濃い一日を過ごして感じたことをまとめるために、思考整理法の一つ、マンダラチャートを使って書き出したのが下の写真です。






「屠畜場」を中心に、キーワードを埋めて出てきた
◆水・お湯
◆かっこいい
◆職人
◆機械
◆うるさい
◆きれい
◆整頓
◆生
という8つの言葉。

僕なりに感じたことを、この8つの言葉で書いていきたいと思います。


1.水・お湯

とにかく大量の水・お湯が使われていました。
血や脂を流すのはもちろんのこと、枝肉になるまでの間にも至るところで洗われます。
ナイフや作業着もお湯で洗い、流し、常に清潔に保たれる。
もっと血のにおいが鼻を衝くかと思っていましたがそんなことはなく。
血は真っ先に抜かれ、床に流れた血はすぐ側溝へ。
施設内には下水処理場と同等の設備を持つ水処理センターがあり、ろ過されて下水へと流される環境への配備もなされていました。

ちなみに洗浄用のお湯は83度以上と決められており、冬場その温度を下回ると作業停止、ボイラーが温めるまでその場で待機しなければならないそうです(見学当日も30分待機させられたそう)。


2.かっこいい

とにかく、作業される方の所作がかっこいいんです。
家畜に目が行くより先に、作業員の、人の動きに目が行ってしまいます。
ナイフ一本で皮を傷つけないよう剥いでいく姿、ナイフについた脂肪を落とすために棒やすりで砥ぐ姿はずっと見ていても飽きることはありません。
棒やすりをベルトにしまう動きもまるで刀を鞘に納めるような、無駄のない所作。
もちろん、剃刀のように砥がれた刃物を扱うので真剣そのもの。
その立ち居振る舞いは侍のようにかっこいい。

3.職人

肉はラインというレーンに沿って流れていきます。
牛であれば、1工程70秒という決められた時間内にそれぞれの工程を済ませなければいけません。
きれいに分担された、流れるような作業。
無駄のない、経験を積んだ動きはプロ。
まさに職人の仕事でした。


4.機械

屠畜場の中は工場そのまま。
足で操作する昇降機、高圧の空気で刃を回転させるエアーナイフ、豚の皮を一気にはがす皮むき機、牛の背中を割る巨大のこぎり、etc...
豚が枝肉になるまで25分、牛は50分。
機械化出来るところは機械で、人の手が必要なところは人の手で。
加工の速さと品質の良さは、機械と人の絶妙なバランスで出来上がっていました。


5.うるさい

見学者は耳にイヤホンをあて、レシーバーで案内人のマイク音声を受信して話を聞きます。
機械音が鳴り響くので、地声での会話は近づかないとできません。
ちなみに牛や豚の鳴き声は、繋留所(全国から運ばれてきた家畜を、一晩泊めておく場所。移動の興奮を一晩かけて静めます)から銃撃や炭酸ガスで気絶させられるまでの間に聞こえる程度で、鳴き声が響き渡るということはありません。


6.きれい

屠場自体はもちろんのこと、働く人の作業着もきれいです。
工程が後半になれば血がかかることも少ないのですが、頭を落とす作業で血がかかってもホースで洗い流して作業に戻る姿、1頭作業を終える度に器具を熱湯で洗浄。常に水やお湯で洗い流されているので床に血が飛び散っているような光景はありませんでした。
作業後はもちろん洗浄をし、専門業者による消毒もされているので毎日清潔さが保たれています。


7.整頓

無駄のない一連のラインが作られているため、場内は整理整頓が徹底されています。
作業員の身の回りも、ナイフ入れ・棒やすりの位置もきれいな所作が出来る位置にセットされており、見ていて気持ちのいいくらい。
かごの中にキャンディーが置いてあるのを見て、なんだか親近感を持ちました。


8.生

最後に思い浮かんだ言葉は生。
そこには生体(生きている状態の家畜)が屠畜、解体され、生鮮な枝肉へと加工されていきます。
生々しく、生命あるものが食物へと加工されていく場所。
そこには作業員の生活があり、私たちの生活を支えてくれている。
いろいろな「生(セイ)」を感じることが出来ました。





「いただきます」

と言う度に、料理になるまでに携わってきた人の手間を思い出し、感謝することで一層美味しく食べられる気がします。

東京都中央卸売市場食肉市場ホームページ




あとがき

屠畜見学時、プラスチックの波状のチューブのようなものが目に入りました。
お肉の情報館で資料を見て解決。
「フエガラミ」と呼ばれる、牛の気管のこと。
いつか食べてみたい。

見学しながらも「美味しそう」が出てくる、そんな場所でした。

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